猫と犬の同居は、飼い方や相性に注意が必要

飼い主にしがみつく猫
猫と犬は一緒に飼うことができます。
SNSやテレビでしばしば仲の良い猫と犬が紹介されますよね。友達として家族として、犬と猫が仲良く暮らしているケースは少なくありません。

ただし、基本的には猫も犬も縄張り意識が強い動物なので、お互いの存在に慣れるまでには時間がかかる場合があります。関係性をうまく構築できるかどうかは、それぞれの性格や年齢、飼い主の接し方などによっても大きく左右されます。

猫と犬を一緒に飼う際の注意点

猫のいる家に新たに犬を迎える場合は、具体的に次のようなことに注意が必要です。

  • 徐々に慣れさせる
  • 猫がリラックスできる場所を確保する
  • ごはんは別々に与える
  • 猫専用のテリトリーを尊重する
  • 猫と飼い主が触れ合う時間をつくる
  • 猫が嫌がる行動を犬がしないようしつける

徐々に慣れさせる

いきなり犬と猫を対面させるのではなく、まずは別々の部屋で生活させ、お互いの存在に慣れさせることからはじめましょう。

猫がリラックスできる場所を確保する

猫はひとりで落ち着ける場所がないとストレスを感じます。猫が安心して逃げ込める場所を複数用意しましょう。高い場所や狭い場所など、犬が追ってくることができない場所を確保してあげます。
キャットタワーで眠る猫

別な場所でご飯をあげる

猫と犬ではそれぞれ必要な栄養が違うため、犬がキャットフードを、猫がドッグフードを食べるのは避ける必要があります。
それぞれの皿を用意するのはもちろんですが、猫と犬は別の場所でごはんをあげるようにしましょう。

犬は皿に盛られたごはんをその場ですぐに食べる傾向にありますが、猫はちょこちょこ食いをすることも多くあります。
同じ場所でご飯を食べさせると、皿に残ったキャットフードを犬が食べてしまうことが考えられるのです。

また、それぞれのごはんの保管にも十分注意する必要があります。犬や猫が入れない部屋に置くか、届かない場所に置くようにしましょう。

猫専用のテリトリーを尊重する

猫はとてもきれい好きで、パーソナルスペースに自分と違う臭いがつくことを嫌います。猫が普段使っているトイレや食事・水飲み場所、ベッドなどは、犬が入れない場所に設置しましょう。

猫と飼い主が触れ合う時間をつくる

子犬を迎えると、どうしてもそちらにばかり気を取られてしまいますが、先住猫との時間も大切にしましょう。今まで通りのスキンシップや遊びを続けることで、猫の不安を軽減できます。
猫をかわいがる女の子

猫が嫌がる行動を犬がしないようしつける

子犬は好奇心の塊なので、猫と一緒に遊ぼうとして、追いかけたり、じゃれついたり、吠えたりするかもしれません。
犬に悪気はありませんが、猫がストレスに感じる場合があります。犬にアイコンタクトや、「マテ」「オスワリ」などのしつけをおこない、猫に嫌がる行為をしそうになったら、飼い主に注意を向けさせて予防します。

犬と猫の習性の違いを知ろう

猫とコーギーの子犬
猫と犬を一緒に飼うためには、それぞれの習性を理解し、適切な環境を整えることが大切です。環境が整っていないと、猫も犬もストレスを感じてしまい、体調を崩したり、問題行動を起こしたりする可能性があります。

単独行動を好む猫と群れを好む犬

猫の習性

猫は単独行動を好み、自分のペースで生活することを望みます。また、高い場所や狭い場所を好む傾向があり、自分のテリトリーをとても大切にします。警戒心が強く、環境の変化に敏感なので、新しい家族を家に迎えることは、猫にとって大きな出来事となります。はじめはストレスを感じる猫も多いので、愛猫が慣れるまで、飼い主がしっかりフォローをしてあげる必要があります。

犬の習性

犬は群れで行動することを好み、飼い主やほかの動物とのコミュニケーションを大切にします。また、動くものを追いかける習性があり、猫の動きに興味を示すかもしれません。猫よりも体が大きく、活発な犬も多いため、猫にとっては脅威に感じられることもあります。

猫と犬の相性

迎え入れる際の猫・犬の年齢、タイミング、順番によって関係性や慣れるスピードは変わります。

ここでは、猫と犬どちらを先に飼っているのかで、どのような相性になりそうかをご紹介します。

子猫×子犬

猫と犬がもっともお互いを受け入れやすいパターンが、幼い子猫と子犬を同時に飼いはじめる場合です。
犬は生後3~13週齢、猫は生後2週~8週齢までの社会化期であれば警戒心が低いため、お互いよい遊び相手になるでしょう。
そして、そのまま兄弟のように仲良く成長してくれることが期待できます。

ただし、飼い主の負担が大きくなってしまうので、家族の協力が十分に得られる状況でないと難しいといえます。

先住の成猫×新入りの子犬

先住猫のペースに合わせて、徐々に慣らしていく必要があります。
年の差がある程度あったり、オス×メスの組み合わせで迎えたほうがうまくいきます。親子のような関係性で仲良くなりやすいですし、オス同士・メス同士に比べると互いをライバル視しにくくなるからです。

先住の成猫×新入りの成犬

もっとも慣れるのに時間がかかる可能性があります。最初の対面でお互いの印象が悪いと、後々まで引きずる可能性があります。最初はケージ越しから慣れさせ、恐怖を与えないようにしなくてはなりません。
猫が威嚇を繰り返すようなら、しばらくは別な部屋で様子を見ます。また飼い主は先住猫への愛情が変わらないことを示すことが大切です。

猫と仲良くできる犬を選ぶ

トイプードルの子犬
やさしく友好的な性格の犬種は、多頭飼いに向いているといえるでしょう。
ほかのペットと仲良くできるといわれているのは以下の犬種です。


※『みんなのブリーダー』の子犬検索ページに遷移します。

猫と仲良くできない犬の特徴

遠吠えをしている犬
猫と犬の相性がいいかどうかは個体差がありますが、次のような犬は仲良くなりにくいといわれています。

狩猟本能が強い

狩猟で活躍していたルーツをもつテリア系サイトハウンドの犬種、家畜をまとめていた牧畜犬は、今でも追いかける習性が強く残っている子もいます。
猫の素早い動きが、狩りの本能を刺激してしまう可能性もあります。

警戒心が強く、興奮しやすい

見知らぬ人や動物に対して警戒心が強い犬は、猫に対して過剰に反応し、吠えたり追いかけ回したりすることが考えられます。


なかには、これらの特徴に当てはまる犬でも、猫と仲良くできる犬もいるでしょう。
どのような犬種でも、トラブルが起きないように十分な配慮が必要です。

猫と犬を会わせるときのステップ

振り返る猫

ステップ1 別な部屋で臭いをかがせる 

まずは、猫と犬を別々の部屋で過ごさせ、臭いや気配、声などで徐々に相手の存在を認識させます。パニックをおこさないか注意しながら、それぞれの匂いがついたタオルや毛布を交換したり、ケージ越しに互いの姿を見せたりするのもよいでしょう。
しかしこの段階では、直接対面は避けます。焦らず時間をかけてください。

ステップ2 ケージ越しで対面させる

最初はケージ越しに、お互いの様子を観察させましょう。猫が安心できるよう、高い場所にケージを設置するのがおすすめです。猫が威嚇したり、怯えたりする様子が見られたら、すぐに犬を遠ざけます。最初のうちは、対面時間は短くし、徐々に時間を延ばしていきましょう。

ステップ3 リードをつけた状態での対面

ケージ越しでの対面がスムーズに進むようになったら、次はリードをつけた状態で対面させましょう。猫が自由に動けるように、犬は飼い主がしっかりとコントロールしてください。猫が犬に近づいてきたら、優しく声をかけ、褒めてあげましょう。無理強いせず、猫のペースに合わせて徐々に距離を縮めていくことが大切です。

まとめ

仲のいい猫と犬
猫と犬を一緒に飼うことは、それぞれの習性や性格を理解し、適切な環境を整えることで可能です。先住猫がいる場合は、特に猫のストレスを軽減することに配慮し、時間をかけてゆっくりと関係を築いていきましょう。
この記事で紹介したコツや注意点を参考に、猫と犬が仲良く暮らせる環境を作ってあげてください。