猫の耳の役割

耳を動かして状況を確認している猫

音を聞く

耳の主な役割は、脳へ音を伝えること。実は猫の聴力は非常に優れており、犬よりも高い聴覚能力を持っています。
猫の五感「視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚」のなかで聴覚はとくに発達しており、音の出どころだけでなく、発生した距離まで把握できます。

また、低音から高音まで非常に広い音域を聞き取ることができ、小さなネズミの鳴き声も聞き逃しません。

感情表現

猫は感情に応じて耳を動かし、その感情を相手に伝えています。
猫の耳には多くの筋肉があり、その筋肉(耳介筋)を使って耳を後方にくるっと回転させたり、ぺたんと寝かせたり、片方だけ動かすことができます。
猫は耳を自由自在に動かして、そのときの気持ちを表現しているのです。

平衡感覚を保つ

耳は平衡感覚を保つという大事な役割も担っています。体の回転や傾きを敏感に察知し、バランスをとります。

猫の耳は平衡感覚を保つ三半規管が発達しており、これにより高所からでも上手に着地できるのです。

体温の調節

猫は耳から熱を放出して体温を調節しています。
人は汗をかくことで体温を調整しますが、汗腺がほとんどない猫は、毛細血管が集まっている耳でおこなうのです。

猫の耳を触ると、熱をもって温かいことがよくありますが、それは体温を下げようと放熱しているため。猫の体温が上がれば、耳も熱くなります。

猫の耳から感情を読み取る

耳が前を向いてピンと立っているとき

周囲の音を確認しているメインクーン
力を抜いて耳が立っているときは、猫が穏やかな気持ちでリラックスしている状態です。

耳を立てたまま落ち着いた表情をしていても、耳が顔とは違う方向を向いている場合は、気になる音から情報収集をしようとしています。音のするほうへ耳を傾けて、音の正体を突き止めようと確認をしているのです。
その際、なかなか状況がつかめず、音の正体がさらに気になり始めたら、顔も一緒に耳の方向へ向きます。

耳が少し外向きのとき

リラックスしている猫
真っすぐに立った耳が少しだけ外を向いていたら、猫はうとうとしているのかもしれません。

真っすぐに耳を立てているだけのときと違い、顔の表情はよりやわらかく、リラックスしているのが特徴です。
飼い主の膝の上でくつろいでいたり、頭を撫でられたりしているときにも見かける動きです。

水平に伏せる・後ろに反るとき(イカ耳)

不安を感じているイカ耳の猫
耳がさらに外を向いている場合、猫は不安を感じている可能性があります。
水平に伏せている、もしくは伏せつつ耳はやや後ろに反っている、いわゆる「イカ耳」と呼ばれる状態です。
反った耳がイカの形に似ていることからその名前がついており、不安やいら立ちを感じているサインで、あまりよい状態ではありません。

イカ耳は威嚇の意味もありますので、表情も険しくなっていることが多いです。愛猫の耳がイカ耳になっていたら、無理に構わず、静かに様子を見守りましょう。

耳を伏せているとき

怖がっているグレーの猫
耳を頭にぺたんと付けるように伏せているときは、猫は恐怖を感じています。
不安や恐怖から耳を伏せる際には、同時に体にも力が入り、頭を引くような姿勢になることが多いです。このような状態のときに声をかけると、さらに怖がらせる可能性があるため、慎重に様子をみましょう。



器用に動く猫の耳。リラックスしているのか、いら立っているのかを判断するのが難しい場合は、耳だけではなく体やしっぽ、顔の表情も一緒にチェックしましょう。慣れてくると、それほど時間をかけなくても愛猫の気持ちを理解できるようになるはずです。

猫の耳のお手入れ

耳掃除をされている子猫

耳掃除

猫の耳は、耳のなかの汚れを外に出す自浄能力があります。さらに、立ち耳の場合は通気性がよく、耳のなかが蒸れにくいため、それほど汚れがたまりません。

一方で、スコティッシュフォールドなど折れ耳タイプは、立ち耳と比較して通気性が悪く、雑菌が繁殖しやすい構造をしています。

愛猫の耳の形でお手入れの頻度は異なりますが、平均して1週間に1度ペースで、耳汚れをチェックする習慣をつけましょう。
耳垢がたまりはじめているのが確認できたときにだけ耳掃除をします。

耳掃除の注意点

頻繁に掃除すると、耳を傷つけてしまう可能性があります。
必要なときだけ、目に見える範囲を掃除しましょう。綿棒は使用せず、水や専用の洗浄液などで湿らせたガーゼかコットンで優しく拭き取ります。

耳付近を撫でながら、自然でスムーズな動作を心がけるのがポイントです。耳の奥まで無理に掃除しないよう気を付けましょう。
愛猫が嫌がったらそれ以上はせず、次の機会にチャレンジします。

また、病院やサロンなど、プロにお願いするのも一つの手です。
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まとめ

飼い主に抱っこされてリラックスしている子猫
猫は耳をピンと立てたり、ペタッと伏せたりすることで、気持ちを表しています。
耳だけでなく、体やしっぽ、表情、鳴き声などの動きも観察しながら、愛猫の気持ちを想像してみましょう。
気持ちがわかると、あまり表情を出さないタイプや、ひとりで過ごすのが好きなクールな猫でも、さらに愛おしく感じられるはずです。
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