猫が唸るのはなぜ?

唸る猫
猫はどうして唸るのでしょうか。なにかよくない感情を持っていることはイメージできますが、実は唸り声ひとつとっても、さまざまな意味が込められているのです。

恐怖…「怖いよー」、「こっちに来ないで」

ウーッやフーッという唸り声は怒っているように聞こえますが、実は猫が自分の身を守ろうとしているサインでもあります。
ほかの猫や人の存在に恐怖を感じた猫は、唸り声で警告を上げることで、恐怖心を表しているのです。

不安…「なんだかいやな感じがするなあ」、「嫌だなあ」

猫は環境やほかの生き物との関係性を重要視する動物です。
知らない猫や人の存在は、猫に恐怖だけでなく不安感を抱かせます。猫は唸ることで相手に不安な気持ちを伝えようとします。

威嚇…「これ以上近づいたら攻撃するぞ!」、「ケガしたくないならあっちに行け!」

口を閉じた状態で、ンーやヴーッと低く唸っているときは、威嚇のサインかも知れません。ほかの猫との縄張り争いで一瞬即発状態になったとき、無用な争いを避ける意味で唸り声を上げます。
このときは、全身の毛を逆立てて鼻にしわを寄せて、手足を踏ん張るようにして立つ様子が見られます。

怒り…「もう容赦しないぞ!」

威嚇が激しさを増し、ヴァーォとしゃがれたような唸り声を上げるときは、猫にとっての“臨戦態勢”です。
怒りは態度や表情からも分かりやすく、いつでも飛び掛かれるように体制を低くし、カッと開かれた目はギラギラと光っています。

猫が唸るのはどんなとき?

ケンカする二頭の猫
猫が意味もなく唸ることはあまりなく、なんらかの理由が込められています。猫が唸る理由について、パターン別に見ていきましょう。

嫌なことをされたとき

「どうしてそんなことをするんだ!」、「嫌なことはやめてよ!」という抵抗、反抗の気持ちの表れで唸ることがあります。
見知らぬ人や自分のテリトリーに入ってきた猫に対しての警戒が強いときは、耳を後ろに倒し、体制を低くして唸ります。このときに無理に近づいたり触ったりすると、不安や恐怖の気持ちが、威嚇、さらに怒りへとヒートアップしてしまいます。

ケンカ中

猫は自分のテリトリーの中で単独行動する動物で、もともとは多頭飼育には向いていません。猫同士の相性によっては、ケンカが勃発してしまうことも多いのです。
まずは威嚇しながら睨み合うことで、互いの強さを図ります。どちらか一方が降参しないとき、また睨み合いで決着がつかないときには、激しい唸り声を上げてのケンカに発展します。

なにかに夢中になっているとき(ごはん、おもちゃなど)

ごはんにかぶりついているときや、お気に入りのおもちゃで遊んでいるとき。そんなときの唸り声は、なにかに夢中になっているサインです。
これは猫に備わった狩猟本能によるもので、ごはんやおもちゃといった”獲物“を捕まえようと、唸り声を上げるのです。

病気やケガなどで痛みがあるとき

トイレ中や猫の体に触ったときに唸る場合は、なんらかの病気やケガのサインかも知れません。
トイレ中であれば、排泄に痛みを感じている可能性も。唸り声が続くようであれば、泌尿科系のトラブルを疑いましょう。

発情期

猫にとっての“春”の季節。オス猫もメス猫も、生後半年前後にははじめての発情期を迎え、唸り声を上げることがあります。
唸るほかにも、以下のような行動や様子が見られれば発情期を迎えた可能性が高いといえます。

オス猫

  • 壁などに尿スプレー(マーキング)をする
  • メス猫を追い回す、圧し掛かって首筋あたりに噛みつく
  • 自分の性器を押し付けようとする

メス猫

  • 地面の上でクネクネする
  • 転がったり、頭を擦り付けたりする
  • じたばたする

分離不安

飼い主にべったりな甘えん坊の猫が陥りやすいのが、分離不安。少しでも飼い主さんの姿が見えなくなると、不安から唸り声を上げることがあります。
分離不安がエスカレートすると、吐く、体が震えるといった不調が見られることも。また、攻撃性が高くなることも指摘されています。

猫が唸っているときの対処法

猫パンチをする猫
猫が唸り出すのには理由がありますが、飼い主としてはどんな対処をすればいいのでしょうか。猫が唸っているときの正しい対処法について知っておきましょう。

そっとしておく

唸っている猫に話しかけたり、叱ってやめさせようとしたりすることは、かえって逆効果。猫の気持ちがエスカレートし、怒りに発展してしまうこともしばしばです。
猫が唸っているところを見かけても、よっぽどのことがない限りは、そっとしておくのがいいでしょう。

構いすぎない

猫はマイペースな生き物で、過度なスキンシップが得意ではありません。のんびりしたいときにベタベタされると、グルグルと唸って「嫌だな」という気持ちを伝えてくることがあります。
構いすぎに対する唸り声は、ストレスのサインでもあります。猫とはほどよい距離感を保ち、必要に以上にこちらから構いすぎないよう注意しましょう。

病院へ連れて行く

病気やケガで唸り声を上げていることが分かったら、迷わず病院へ。このサインを見逃してしまうと、猫の命にかかわる危険な状態に陥る可能性があります。
猫は自分の体調不良を隠そうとする生き物です。毎日の健康チェックは欠かさず、愛猫の適切な体調管理をおこなってくださいね。

夜中に唸るのは、運動会かも?

ストレッチをする猫
猫の運動会とは、夜中から明け方にかけて、猫が突然室内を走り回ったり、暴れまわったりする行動を指します。
興奮が高まると、唸り声を上げながら運動会をすることも。いずれにせよ、猫の体力が余っているときに起こしやすい行動です。これらは猫の習性によるもので、深夜突然スタートする運動会に困っている飼い主さんも多いのです。

なぜ唸る、走る、噛むなどするのか

猫はもともと野生で狩りをして暮らしていた動物です。室内飼いが一般的となり、狩りをしなくなると、本来使うはずだったエネルギーが有り余った状態が続きます。
それらが限界近くまで溜まることで、唸りながら走る、噛むなどといった猫の運動会に発展してしまうのです。

運動会の対処法はあるの?

一度運動会がスタートしたら、猫の興奮がおさまるまで、ストップする方法はありません。飼い主さんにできるのはただ一つ、静かになるのを見守ることのみです。

一方、少しでも運動会の回数を減らしたいのであれば、「昼間いかに猫の体力を使わせるか」がカギとなります。
一人遊びできるおもちゃやキャットタワーを設置したり、猫じゃらしやボールで追いかけっこしたりで、たくさん運動させてあげましょう。
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まとめ

威嚇をする猫
以上、猫が唸るときの理由や気持ち、対処法について説明しました。
人間のような言葉を持たない猫は、鳴き声や唸り声を上げて飼い主に何かを伝えようとします。愛猫の声に耳を傾け、気持ちを理解してあげることでお互いの仲を深めましょう。
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