猫を飼うとできなくなること

飼い主の膝でくつろぐ猫
猫を飼ったことがない人にとっては、猫との生活がイメージしづらく、これまでの暮らしがどう変わるのか分かりにくいかもしれません。
まずは、猫を飼うことでできなくなることについて考えてみましょう。

時間の面

長い時間家を空けられなくなる

猫は自立心があり、ひとりで過ごすことを苦にしない性格といわれますが、それでも長時間の留守番はストレスを与える可能性があります。
一人暮らしの学生や会社員であれば一日10時間以上家を空けることは珍しくなく、その間、猫はひとりで留守番しなければなりません。
健康な成猫であれば12~14時間の留守番が可能ですが、お迎えしたての子猫や体力の落ちた老猫の場合は、長時間の留守番にならないよう配慮が必要です。
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気軽に旅行ができなくなる

前述した通り、長時間の留守番は猫への負担が大きいため、泊りがけの旅行は気軽にできなくなくなります。
猫は環境の変化に弱いため、旅先に連れていくくらいであれば留守番させたほうがよいですが、それでも1泊2日が限界です。
旅行が趣味の方はもちろん、頻繁に外泊する機会があるという方は、不在中の愛猫のお世話をどうするか、具体的なシミュレーションを済ませましょう。

自由な時間が減る

猫は犬に比べると手間がかからないとされていますが、それでも毎日のお世話が欠かせません。たとえば、ごはんの準備やトイレ掃除、ブラッシングや爪とぎなどのお手入れがあげられます。
毎日の散歩は必要ないものの、お世話にあてる分の自由時間は減ることを想定しておきましょう。

急な予定変更が難しくなる

猫は規則正しい生活を好む傾向にあります。いつも通りのごはんの時間が遅くなれば、おなかを空かせるだけでなく、ストレスにつながってしまう可能性も。
突然の予定変更や不規則な生活は猫の健康に悪影響を与えるため、可能な限り猫に合わせたスケジュールの調整が必要となります。

費用面

自由に使えるお金が減る

猫を飼いはじめれば毎日のフード代はもちろん、トイレ用品やお手入れグッズ、ワクチン代など、毎月または毎年の決まった出費があります。さらにケガや病気をして高額な医療費がかかる可能性もゼロではありません。
決まった出費だけでなく、予想外の出費についてもしっかり念頭に置いたうえでお迎えを検討しましょう。

電気代(エアコン代)がかかる

春や秋など安定した気温のシーズンは不要ですが、夏と冬は徹底した温度管理が欠かせません。とくに夏は熱中症のリスクが高いため、留守中も含めて一日中エアコンを稼働させる必要があります。
夏の早朝は涼しいこともありますが、留守番をさせるときは日中の最高気温を基準にエアコンを設定しておきましょう。
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生活面

清潔な状態を維持することが難しくなる

猫の抜け毛はあちこちに飛び散ります。
とくにソファやクッション、ラグなどの布製家具には毛が絡みやすいため、吸引力の高い掃除機や粘着ローラーを使った掃除が必要になるでしょう。

抜け毛対策には、こまめなブラッシングが効果的。とくに春や秋の換毛期は抜け毛が増えるため、毎日ブラッシングをすることが重要です。
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家具や壁の傷を諦めなければならない

猫には爪とぎの習性があるため、家具や壁を傷つけてしまうことがあります。
しつけによって爪とぎの場所を完全にコントロールするのは難しいため、爪とぎしにくい家具を選んだり、壁に保護シートを貼ったりするなど、飼い主側の工夫が大切です。猫の習性を理解し、ともに快適に暮らせる環境を整えましょう。
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部屋のインテリアが制約される

犬と違い、猫は高い場所に登れます。登ってほしくない場所があれば、猫のジャンプ力を考慮した家具の配置をしなければなりません。
また、棚の上に乗せている小物や割れ物は片付け必須です。

観葉植物を置いている家であれば、猫にとって有毒なものではないか確認してください。
猫に害のある観葉植物は意外に多いので、該当するものがないかお迎え前にチェックしておきましょう。

住まいの選択肢が限られる

マンションなどの集合住宅にはペットの飼育に制限がかかっていることが多く、賃貸物件となればさらに「ペット不可」の条件を設けているケースが大半です。
また、ペット可物件であっても、犬だけOKで、猫の飼育はNGしているところも少なくありません。
集合住宅で猫をお迎えする場合は、自身の住まいが飼育可かどうかあらかじめ確認するとともに、引っ越しする可能性についても念頭に入れておくべきでしょう。

猫を飼って後悔しないための準備

観葉植物を倒す猫
猫を飼うと多少なりとも生活スタイルを変える必要がありますが、事前に準備をすればスムーズにお迎えすることができます。
次では猫を飼って後悔しないためのポイントを紹介します。

猫を飼うのに必要な費用を把握する

もっとも重要な飼育費用について考えましょう。
猫を飼うのにかかる費用は150万円以上です。これは目安の金額であり、与えるフードの質などによっても大きく変わりますが、猫の寿命を15年と仮定するのであれば、150万円を下回ることはないでしょう。

加えて、病気やケガで治療や手術が必要になる可能性も十分にあり、そうなった場合にはさらに多くのお金が必要になります。
万が一の際に愛猫に手厚いケアをしてあげられるかどうかを前提に、飼育費用を確保しておきましょう。
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猫のお世話について理解する

猫は犬と比べると手がかからないといわれていますが、それでも日々のお世話は必要です。
具体的には食事の用意、ブラッシングや歯磨きなどのお手入れ、部屋の掃除などがあげられます。
また、猫のペースに合わせたコミュニケーションも忘れてはいけません。そばで一緒にくつろいだり、一緒に遊んだりする時間も大事にしましょう。

自分のライフスタイルに合う猫種を選ぶ

猫にもさまざまな品種があり、猫種によって性格や運動量、被毛ケアの手間が異なります。

たとえば、短毛種は比較的アグレッシブな性格の猫が多いため、遊びに付き合ってあげる時間をしっかりとつくってあげる必要があります。
一方で長毛種はマイペースに過ごすことを好む傾向にありますが、毛が絡まりやすく、こまめなブラッシングが欠かせません。

もちろん猫によって個体差はありますが、自身のライフスタイルに合っている猫種を選ぶことで互いに負担の少ない生活を過ごすことができるでしょう。
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猫に合わせた生活環境を整える

お迎えを決めたら、猫が安全で快適に暮らせる環境を準備しましょう。
まずは誤飲・誤食による事故を防ぐために、人間の食べ物、小さなものやひも状のものはすべて扉が付いた棚の中などにしまいます。

また、猫は上下運動を好む動物です。キャットタワーやキャットウォークなどを用意して、猫が上下運動をできるスペースを設けましょう。
加えて、猫が周囲を気にせずリラックスできるような場所を用意してあげると喜びます。

そして、温度管理も忘れてはいけません。一年を通して快適に過ごせるよう、暑い日や寒い日はエアコンを利用して徹底した管理をおこないましょう。
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猫を飼うことで得られる喜びと変化

猫を抱っこしてリラックスしている女性
猫を飼うと生活には制約が生まれますが、それ以上に癒やしや喜びを与えてくれます。ここでは猫との暮らしで得られるメリットについて説明します。

癒しと幸福感が得られる

人は猫とのふれあいで「オキシトシン(幸せホルモン)」が分泌されることが分かっています。
また、猫がのどを鳴らす「ゴロゴロ音」にも癒し効果があるという研究結果もあり、猫との暮らしには人間に健康的なメリットをもたらすということが科学的にも実証されているのです。

生活リズムが整う

猫は規則正しい生活を好む動物なので、お世話を通じて飼い主自身も規則正しい生活リズムがつくられていきます。
また、猫は早朝に活動的になる習性があるため、猫に合わせて飼い主も早寝早起きが習慣化していくでしょう。

部屋を清潔に保つようになる

猫の健康を考えて、部屋を清潔に保つ意識が高まります。誤飲・誤食による事故の防止のために整理整頓の習慣も身に付き、部屋はいつもきれいな状態になるでしょう。

新しい趣味やコミュニティが広がる

猫との日常が新たな楽しみを生むケースもあります。たとえば、写真や動画を撮って愛猫の思い出を記録していく楽しさは、多くの飼い主さんが経験するでしょう。
撮った写真をSNSに投稿すれば、同じ趣味や興味を持つ人々と出会う機会が増えるかもしれません。

まとめ

猫を撫でる女性
猫を飼うことで得られるものは多くあり、それらは何事にも代えがたいものです。しかし、制限されることや配慮が必要になることも多く、場合によっては愛猫の想定外のケガや病気により出費がかさむ可能性も否定できません。

大切なのは事前に正しい情報と知識を持ち、覚悟を持って向き合うこと。そして家族に迎えたら、最後まで責任を持って面倒を見ることです。
そうすれば愛猫はあなたが注ぐ愛情の何倍もの愛情と、幸せと癒しを運んできてくれるでしょう。